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共通語から始めよう

楽器を習いたいと来られた際、まずはじめのレッスンでインフォメーションとしてお伝えする事は、楽器を演奏するという行為は、知識を目と耳から頭に入れて、体で表現するという事。インプットとアウトプットがあって初めて表現できるということ。

楽器によってエネルギー変換は様々だが、ピアノは指先がキーを落とす事から音を出し、そして脚のペダルで音の長さと響きを調節する。管楽器は管体に息を入れ、指そして口周りから舌、喉の筋肉を駆使して音を作る。

 

 

「さあ、始めましょう!」

と言って音を出すために用意する事は

 

楽譜???

 

運指???

姿勢???

呼吸法???

 

アンブッシュア???

タンギング???

楽器の構え方???

楽器の調整???

 

ピアノは触ったら音が出るけれど、その他の楽器は別のことにも頭を使う。

 

そして、それらをまず頭に入れてからやっと体を動かして音を出す行為に進めるという、あまりにも複雑な一連の動作に対して、まず皆面食らう。

 

もちろんできないから落ち込む必要はなく、その場でできる様になって下さいというのではなく、少しづつできれば言い訳だから、焦らないで大丈夫。でも習得したいと思わないとなかなか習得できない。

優先順位をつけて、必要なことを少しづつ差し出す。必要ならば、To Do List の様に箇条書きにして、リマインダーを目につく様に差し出す。

自分にも経験がある。一つ気にかけると一つ忘れる、、、。練習は何度も同じ様に繰り返している様に聞こえるかもしれないが、実は少しずつ気にかけるポイントを増やして行く行為に過ぎない。

気にかけないで出来るくらいになれば習得したサイン。自転車に乗る練習と同じで、右に転び、左に転び、又右に転び、を繰り返していけば、いつか真っ直ぐ走りながら景色を見る余裕まで生まれる様になる。

 

いつかこれらのことが自分でできる様になれば私は無用な存在。

 

これだけのたくさんのことを四六時中見張っているのが教える私たちの仕事。

 

それらを伝える為の音楽の共通の言語をまず学びたい。

 

メロディー、ハーモニー、リズムの音楽三原則を表現するための4つの手段

 

 

1音の長さ(アーティキレーションも含む)

2音の高さ(音の名前、調性)

3音の大きさ(強弱記号とフレージング)

4音楽のキャラクター(テンポ、ビート)

 

まずその4つの存在を認識してもらう事から始まる。

そして、それに関連する運動機能の習得を促すプランを作る。

 

そしてその共通語を表記できるのが

どの楽器にも、どの国に行っても共通な楽譜

 

ピアノ教室に通い始める前、父から「猫ふんじゃった」の曲を教えてもらい、見様見真似で弾ける様になっていた私。でも、音の名前は全く不明。鍵盤の位置と指の位置を覚えてしまったから弾けたというだけ。

同じ容量できっと曲を覚えて弾く事はある程度できただろう。最近YouTubeで光でキーボードと指の動きを見せてくれる動画がある。あれで覚えたと同じ容量だ。

脳内のメモリーボックスの容量が大きければ、この方法である程度楽器演奏は楽しめる。でも共通語を理解していれば、他のミュージシャンとの共通の言語で繋がれる楽しみがある。

 

故にこの共通語の理解が、将来的には必要不可欠になる。

ピアノ以外の楽器で、一人で演奏する事は実は稀であるから。

 

しかし、一人でなんでも出来てしまうピアニストはちょっと孤独だ。

ステージでは誰も助けてくれない、、、。

転んだときは、自分で自分を立て直すしかない。

 

でも楽譜は作曲家と繋がれる手段だ!

その時に孤独ではなくなる。