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恥ずかしい話

駐在員の夫。いつ日本に帰ることになるか分からないといわれて、いつでも日本に引っ越せる様にと考えた結果、家を買うことを躊躇ってしまい、18年も賃貸で同じところに住み続けている。子供が成長するまでは、LAでいいでしょうという社長さんの計らい+夫が転勤を避けてくれた?おかげ様で家賃も急上昇しないでぼちぼち快適な暮らしをさせていただいてる。何がいいかと言えば、リビングが教室がわりになり、ピアノを置いても大きな音を出しても幸いクレームは来ていない。

 

一つだけ、この家に不満がある。それは親切すぎる大家さん。本当に彼らはこの家を自分の子供の様に可愛がっている。ちょっとした不備やちょっとした不具も見逃さないし、何か水漏れ等起きれば数分以内に飛んでくることもある。(1ブロック先に住んでいるので)1日に何回うちの周りをうろうろ(本当はただのエクスサイズWalking かもしれないが)して、「ガレージの鍵のDEAD Bolt かかっていない」「ゴミの捨て方がよくない」「自転車を止める場所がよくない」「家の鍵が2重に掛かっていない」「プランターのボックスの上に、モノを置いてはいけない」「窓に鍵がかかっていない」などなど。

 

あまりにも細かい上、いつでもウチに入ってきそうな気配がして、落ち着かないから、思い切って数年前にセキュリティー(カメラを配置し、センサーをつけた)を張り巡らした。そしたら何と、「自分の家じゃないのに、セキュリティーをかけるとは何事?」という剣幕で怒られた。衛星テレビの円盤を取り付けた時も怒られた。「家を守るのではなくて、私たち家族を守るんです」暗証番号を教えろとまで言われて、「このセキュリティーは、あなたたちから私たちを守る為に付けたのにー」と言い出したくても言えず、暗証番号の電源を切ることで、同意させた。

 

自分たちの家があればこの小言から解放される、、、と思って18年もいるが、実際この小言を聞くのは普段私だけ。メールで、そして電話で。そしてたまにドアをノックして話しかけられるか、裏庭を行き来する姿を見かけてビクビクする。それも普段家にいる私。家族に言われたことを伝えても、もちろん私が言われて嫌な思いをすると同じく彼らも相手が私なだけに、一向に変わらない。注意を受けるのは私だけ。

 

そして今日は年に一回の水周り点検日。同じ様にメモにびっちり書き込まれたモノを朗読し、できていないと指摘。全部わかっているが、彼女のルールで私たちの借りている敷地内を100%管理することは、到底できない。私は家族の動向を四六時中監督できない。ゴミ箱の番号が間違えたか、隣の箱に捨てたとか、鍵がかかっていないとか、、、。とにかくこの世の終わりの様に騒ぐので、今日は初めて私は大家に反撃した。それも彼女より大きな声で。子供たちは隣の部屋にいて、私が普段口を酸っぱくして「大家に注意されたから直してね」と言ったことを、私が言われているのを聞いていた。きっとかなり申し訳なく感じてくれただろう。Vitamin Aは少なくとも、その後、私に頭が上がらなかった。私が子供をかばった様な発言をしたからだ。Vitamin E は自分が名指しされたと言って、ずっと私に対して怒っていた。彼女には全く伝わっていなかったが、Vitamin A がEに「ママは、『子供は悪く無い』って言ってくれてたんだよ」と解説して、少しは機嫌を戻した。でも「ゴミ捨て係」が失格だったと思ったらしく、「ゴミ捨てにはもう行かない」と拗ねた。

 

「自分たちで家を持ったら大家さんがやってくれることを、全部自分でやらなければならないから大変だよ」と、持ち家に関心を持たない夫は言う。確かにそうだが、小言を言われるのは、本当に辛い。夫の実家のお姑さんは本当にいい人なので、実際長期で里帰りをする時などは自分の実家よりも居心地がいいくらいだ。友達のお姑さん問題は今もたまに耳にすると、その大変さを想像するのは嫁イビリのドラマのシーンを想像するくらいだが、この大家さんこそきっと、世間の姑さん的存在。もう少し遠くに住んでいてくれたら、ここまで細かくチェックされなくて済むのに。

 

子供のことにすごく夢中になるタイプの親では無いと自分のことを思っていたが、やはり子供が悪く言われたり、思われたりしたら、親と言うのは子供をかばいたくなるんだな。18年間何時も黙って聞き逃すことができたのに、そばに子供がいるだけで、それが事実だったとしても牙を向く。野生動物も子供を親が守ろうとする時、無謀な抵抗するよね。この破格のレントを放棄できないので、もちろん後からメールで謝罪入れました。